Column連載コラム

2022.08.30

マーケティング分野でのデータサイエンティストのお仕事の例

講師の塚田です。

今回は私の携わってきたデータサイエンティストの業務について1つお話ができればと思います。

 

■現場でよくあるテーマ

マーケティングの分野において分析としてなりやすいのは施策の効果があったのかというものがよくテーマになります。セールを実施して購買数は増えたのか、CMを流したことで利用者は増えたのかといったというテーマですね。「セールやCMの効果で売り上げが何%増加しました。」といった専門の人以外も理解しやすい結果が得られることもあり、このような分析依頼が往々にしてあります。データがあまり多くない場合などでは専門性のない人でもエクセルを使って集計して簡単に結果を出すこともできるかと思います。

しかし、本当に「セールやCM」に効果があったのかを検証するためには、その他のバイアスを除いて対象の施策の効果を検証しなければなりません。因果推論の理論に沿ってあるべき検証を行おうとするとランダムで店舗や地域を分けて「セールやCMを実施したグループ」と「セールやCMを実施しなかったグループ」を作り、検証することが理想となりますが、企業は利益の観点やサービスの公平性の観点から上記のような環境を作ることは現実的ではないことが多いです。

 

■バイアスについて

そのため、手元にある商品の購買数やサービスの利用客数を用いて効果検証を行う選択をせざるを得ないことが多いです。そのような場合、データの前処理が重要になります。

手に入るデータは様々な制約によりバイアスがかかっています。バイアスを除かずに分析を行ってしまうと効果検証を他の要因の影響により、結果が捻じ曲げられてしまうことが往々にして起こりえます。例えば、クリスマスにセールを実施したら売上が11月に比べて1.2倍になりましたといったようなことですね。このような時にはセールによって売上があがったのか、クリスマスというイベントの効果により上がったのか、11月と12月の差なのか、他の要因があったのかなどのバイアスを考えなければなりません。

バイアスには季節性バイアスやセレクションバイアス、行動バイアスといったバイアスの分類や概念もあります。各種バイアスを除いたり、または効果が小さいと仮定し分析を進めるためにはそのバイアス自体を見つけていなければなりません。バイアスを見つけるために因果推論を用いて具体的なバイアスを考えていくことになるのですが、その際には

 

①統計学やマーケティングの知識

②商品や業界の特色

③現場のシステムやデータの構造

④国や地域の慣習や流行

 

といった要素を広く考える必要があります。

 

■現場での一例

私の担当していた現場でも上記のような分析依頼「商品の売上に特定のエリアにおいてイベントの効果を検証してほしい」といった依頼がありました。このような際にはまずはデータを可視化し、データからめぼしいバイアスがありそうな部分はないかを確認し、各種バイアスは何があるかを整理しました。

上記の分類でいくつか例をあげると

 

①統計学やマーケティングの知識

季節性バイアスがあるか

値引きは行われているのか

 

②商品や業界の特色

商品の流行がかわっていないか

業界内他企業の進出や撤退はないか

 

③現場のシステムやデータの構造

店舗が増加していないか

システム上の問題はないか

 

④国や地域の慣習や流行

コロナによる経済政策や行動制限は行われていないか

ゴールデンウィークなどの国の特徴的なイベントは関わっていないか

 

このようにバイアスを整理し、バイアスになりうる現象が起きていないか確認します。

その際にデータを可視化できているとバイアスがかかっていそうか考える一助になります。

このようにしてバイアスを想定し、効果が小さいと仮定できるものは無視し、効果があると思われるものはその影響により、データを除外する、補正を行うなどの前処理を実施しました。その上でイベントのあった期間とその前の期間を比較し、効果検証を実施しました。

 

■終わりに

マーケティング分野におけるデータサイエンティストのお仕事の例として、効果検証とバイアスについて述べさせていただきました。単純な比較の分析ではありますが、その単純な比較を行う前にも考えるべきことやデータの前処理が必要であり、工夫が必要です。

今回説明したのはちょっとした一例に過ぎません。他にもとても面白い仕事もたくさんありますのでまた別の機会に述べさせてもらえればと思います。データサイエンティストという職業に興味を持っていただければ嬉しいです。

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