Column連載コラム

2022.03.09

30代未経験からデータサイエンティストになれるのか?その①

転職・就職支援担当の中川です。

「現在〇〇歳、これからデータサイエンティストを目指すのは無理ですか?」というご質問をよくいただきます。特に30歳~35歳くらいの方にご質問されることが多いように思います。いわゆる「35歳転職限界説 ※」もあり、今後のご自身のキャリアをあらためて考えた上での質問であると思います。今回は「30代未経験からデータサイエンティストになれるのか?」というテーマでコラムを進めたいと思います。

 

※35歳を機に転職成功率が大幅に下がるという転職市場での定説のこと。特に未経験の職種や業種の場合、35歳を超えてから転職することは難しいと言われています。しかし、ここ数年は35歳以降の転職が大幅に増えており、私個人としては、35歳転職限界説は崩壊したと言えるのではないかと考えています。

 

ある程度キャリアを重ねた方がデータサイエンティストになる方法は、二つあります。

 

①データサイエンス系の職種に応募し、採用してもらうこと(転職)。

②今自分がいる会社で、何らかの方法でデータ分析を行うこと。

 

今回は①の転職についてお話します。

 

まず、いきなり身も蓋もない話になりますが…

キャリアは人それぞれであり、万人に当てはまるセオリーはありません。30代ともなれば、どのような学びを経てどのようなキャリアを歩んできたのか、本当に人それぞれです。様々なバックグランウドを持つ方全てに対して一律で可能性の有無を論じることは不可能ですが、今回はとりあえず一般化したお話をします。

 

また、「データサイエンティストになる」の「データサイエンティスト」についても多様な受け止め方があるのでここで整理しておきます。

転職サイトでデータ分析に関する仕事を検索してみると、「データサイエンティスト」「データアナリスト」「データ解析エンジニア」「データ分析担当者」等様々な職種名で募集があります。各社様々な職種名を使っていますが、それぞれについて社会全体で共有された明確な定義はないというのが現状です。よって、職種名で仕事内容を判断することにあまり意味はありません。

データへの関わり方も様々で、いわゆるビッグデータを扱う仕事もあれば、Excelを用いた小規模な分析の仕事もあり、データの抽出や加工を専門に行う職種、機械学習のモデル構築を専門にする仕事、インフラエンジニア的にデータに関わるポジションもあります。金融や製薬等、特定の分野に特化した分析の仕事もあるでしょう。

データに関わる仕事は意外と幅広いため、このコラムでは、「ビジネスに役立てることを目的として、IT技術を用いて行うデータの分析に携わる職種」くらいの広いイメージで、データ分析に関わる職種を全てまとめてデータサイエンティストと呼ぶことにします。

 

という前提のもと、結論から申し上げますと、「30代未経験からデータサイエンティストになることは可能」です。理由は二つあります。

 

理由その1 職種が変わっても、ビジネス力はそのまま生かせる

一般的に、データサイエンティストにはビジネス力・分析力・エンジニアリング力が必要とされていることは、他の記事でも紹介されている通りです。このうち、ビジネス力(課題設定力・コミュニケーション能力・業界知識等)は、他職種でも身に付けることが可能なものです。

30歳を超えれば社会人経験も10年程度となり、それなりにまとまったキャリアをお持ちのはずです。それまでのキャリアは、データサイエンティストを目指すからといってゼロになるわけではなく、アピールの仕方次第ではプラスになる場合も多くあります。特にマーケティングや金融、医療の分野はデータ分析の需要も多く、かつ専門的な知識が必要とされるので、これまでのキャリアを生かせる可能性が高まります。システムエンジニアやプログラマーの仕事をされている方であれば、ビジネス力に加えエンジニアリング力も保有しているので、可能性はさらに高まります。

転職活動を有利に進めるためには、自分のキャリアを生かしてデータ分析ができる会社・職種はどのようなものかを戦略的に考える必要があります。これまでのキャリアとその生かし方によっては、30代のみならず、40代以上でもデータサイエンティストとしての転職が可能な場合もあるでしょう。

 

理由その2 30代未経験を受け入れる土壌がある

データサイエンス業界は「博士課程・修士課程を修了したものの、研究者ではなく民間企業に就職する道を選んだ方」の受け皿となっている側面があります。統計はありませんが、おそらく、他の業界と比べて初めて就業する年齢が高くなっていると思われます。よって、30歳以降の未経験からの挑戦も受け入れやすい土壌があります。

(データサイエンスアカデミーの学長である和田陽一郎も、博士号を取得し就職したのが30歳の時だったそうです。そのせいか、データサイエンスアカデミーには30代になってからのチャレンジを応援する風土があるように思います。)

 

ただし、それは博士課程・修士課程でバリバリ研究をしてきた強者(つわもの)たちと同じ土俵で戦わなければならないということでもあります。データ分析は未経験だとしても、これまで培ったビジネススキルを最大限に発揮する必要があります。

 

「自分がキャリアを築いてきた分野の知識を生かし、これまでの仕事から少しズラしてデータ分析に関わる仕事ができないかを考える」

これが30代未経験からデータサインティストを目指して転職する際のポイントであると思います。もちろん、データ分析をどん欲に学ぶ姿勢があることが前提であることは、言うまでもありません。

 

データサイエンスアカデミーの修了者の中にも、30歳を過ぎて初めてデータサイエンティストとして採用されたという方が何人もいらっしゃいます。冒頭で書いた通り、キャリアはひとりひとり異なるため、より詳しい話を知りたいという方は、ぜひ個別相談でご相談ください。

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