Column連載コラム
2022.02.18
保険分野でのデータサイエンティストのお仕事の例
■はじめに
データサイエンスアカデミー兼任講師の元村です。
私は現在、アカデミーの講師を務める傍ら、某保険会社様にてデータサイエンス業務のご支援をしております。そこで今回は保険分野におけるデータサイエンティストの仕事について、その一例を説明していきます。
■営業活動の効率化
私が携わっている業務ですが、「営業員さんの営業活動を効率化するための施策」に関する業務です。
代表的な施策として、解約予兆に関する施策があります。
お客様が保険商品の解約に至ってしまう理由として、営業員さんの営業態度が良くないなどといった、営業員さん側の要因が考えられます。また、お客様のライフスタイルの変化により、保険内容を見直したいというきっかけから解約に至ってしまうという、お客様側の要因も考えられます。このように色々な要素が組み合わさって、保険商品の解約が発生します。
そこで、営業員さんやお客様の情報から”解約しそうなお客様”の予測を行います。予測結果を基に、”解約しそうなお客様”を持つ営業員さんに対して、「このお客様は、こういう理由で解約しそうなので、こういう行動をしましょう」というアラートを投げます。データサイエンティストはこのような方法で、営業員さんの活動の効率化に貢献しております。
解約予兆以外にも「このようなお客様に対してこのようにアプローチをかけると、契約が取れそうです」という、”契約までの勝ちパターン”を営業員さんに教えるような施策も行っております。
”契約までの勝ちパターン”をどのように見つけるかですが、契約が取れている営業員さんやベテランの営業員さんに絞って、どのような営業活動を行っているのか、どのようなお客様を抱えているのか、などといった情報を抽出します。その情報から勝ちパターンについての仮説を立て、その仮説が正しいのか検証を行い、正しそうであればそれを施策として実行に移す、といった流れです。
■施策の効果検証、および改善
ここまで、色々な施策を例に挙げながら、データサイエンティストがどのようにして営業員さんの活動に貢献しているのかを説明しました。しかし当たり前ですが、施策はやりっ放しで終わりという訳には行きません。仮に施策の成果が出なかった場合、その施策を続けていても仕方が無いので、「この施策は本当に効果があったのか」を検証する必要があります。例えば先ほど挙げたような施策の場合、解約率や契約率などといった指標をモニタリングしていく事で、実際に効果が出ているのかの検証を行っていきます。
また、構築当初は予測モデルの精度が良かったとしても、時間が経つにつれて精度が下がる事はあるので、適宜改善していく必要があります。例えば、新型コロナウイルス流行前のデータで学習した予測モデルを用いて、流行後の事について予測しようとしても、あまり当てにならないと思います。そのため、学習に利用するデータを新しくしたり、ウイルス流行後に重要になってきた特徴をモデルに組み込んだりする事で、モデルのチューニングを行っていきます。
■おわりに
保険分野におけるデータサイエンティストのお仕事の例として、以下の2点を簡単に説明しました。
・営業活動の効率化
・施策の効果検証、および改善
今回説明したのはほんの一例に過ぎません。とても面白い仕事ですので、データサイエンティストという職業に興味を持っていただければ嬉しいです。