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2023.07.19

データ活用事例 ー某製薬会社ー

こんにちは。山本です。
就職事情の記事が連続しましたが、今回はこれからデータサイエンティストを目指す人にとってより参考になりそうな「世の中のデータ活用事例」についてピックアップしたいと思います。
今回は、某製薬会社様のデータ活用事例をお話ししたいと思います。

全従業員の身体データの活用を推進

同社はどうやら2000年代初頭から蓄積している全従業員の身体データがあるようです。
その身体データを活かして健康への適切な提案が実現できると考えているようです。
データを取得する頻度や、そのデータの精度は一旦考えずに、従業員自体がデータの収集元になれるというのはこれはシンプルにデータを活用する人たちにとっては嬉しいことでしょう。

ちなみに、DX推進担当者は、同社がAI推進を実現する上で、大切なことは「課題設定」だと言っています。「AIで何を実現するのか」具体的には「どの領域で、どの程度の精度でAIを活用するのか」「減った工数で人間は何をするのか」といった、ゴールを関係者全員で共有できると、AI活用がうまく進むといいます。

アカデミーでもこの「課題設定=課題への落とし込み」の過程をしっかり学習いただくわけですが、最前線でデータ活用を推進している方々もおっしゃっていると説得力ありますよね。

①製品開発を効率化

さて、では具体的にはどんな活用をされたのでしょうか。
まず一つ目は製品開発にAI活用をしたとのことです。
これまで開発してきた製品のデータを機械学習にかけ、製品の質の予測モデルを構築をしたというのです。その予測モデルがどうして開発の効率化につながったのでしょう。

設計段階から仕様設定までかなりの時間がかかっていたと言います。
今までは、全て開発して試してみないと、どれが狙った硬さになるか分からなかったため、仕様決定に数日かかっていたが、AIによる予測とシミュレーションにより、約1時間で済むようになったそうです。

これがAIの予測モデルのインパクトです。
むろん、このモデルはいまなお精度を向上するために磨かれ続けている(学習され続けている)と思われますが、なんといっても作業効率化によるインパクトは甚だ大きく、時間が空くことで新しいことに着手することができます。新しいことに着手できるということは、企業が成長することに直結します。

私はAI活用の一番のメリットって、目の前の効率化も大いにあると思いますが、その先の組織全体の成長に繋がるといった部分かと思います。組織全体が前進することで、市場価値もあがり社員満足度も上がっていく、正の連鎖が生まれるんですよね。

②香料開発にAIを活用

人材不足・若手不足の解決の一手としてベテランのノウハウをAIに学習させるという技術を活用している企業が増えています。本件もその一例です。香料の熟練者になるにはおよそ10年かかると言われています。その熟練者の思考を機械学習させて、若手が効率よく調合することが出来るようになり、それが開発期間の短縮化に繋がったそうです。

しかしすべてをAIに任せるのではなく、「人が好む香料」はやはりフレーバリストによる仕事だといいます。レシピ(香料の骨子)をAIが提案して、それを料理(好ましいフレーバーに調合・調整)するのは人という役割分担ですね。人間とAIが、できる範囲・できない範囲を明確に切り分けている素晴らしい事例だと思います。

AIと人との共存

「Withコロナ」なんていう言葉をよく聞きますが、「With AI」の時代になってきたのかもしれません。
AIが出来ること、人間が出来ることを切り分けて、AIに任せられることは任せていく、そんなAIと人が共存することで世の中は進歩していきます。しかし、おそらくですが、この「AIにどれくらい任せるか」っていうのがとてもナーバスでかつ明確なビジョンを持っていなければならない部分かと思います。個人単位でいくと、AIにすべて任せてしまったら、知の財産の蓄積はそこで止まってしまい、教養もへったくれもあったもんじゃありません。AIはあくまで「無駄なことを任せる」くらいの考えでいて個人においては知の財産の蓄積を常にしていくべきです。AIをうまく使いこなすには当然AIを知って使いこなせる必要があります。またそれと同時に、無駄なことをAIに任せて人間は新しいことを積み重ねて更に進化していかなければいけません。進化をすればまた無駄なことをAIに任せる。この循環がAIと人との共存の上で理想的だと考えます。要は、AIを使うにも、私たち自身も明確なビジョンが必要だってことですね。また、私たちもAIを使うだけではなく、AIを知って使うことでよりAIを正しく使うことができるようになるのかもしれません。

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