Column連載コラム

2022.06.30

統計検定「データサイエンス基礎」「データサイエンス発展」とはどんな試験なのか?

転職・就職支援担当の中川です。

 

統計検定がデータサイエンティストやこれからデータサイエンティストを目指す方にとって有用な資格であることは、これまでのコラムでも取り上げてきました。

データサイエンティストのキャリアにおける統計検定の意義

データサイエンティストを目指すときに有利になる(かもしれない)資格

 

統計検定には、4級から1級とは別に「データサイエンス基礎」と「データサイエンス発展」という試験があります。「データサイエンス基礎」は2021年7月から、「データサイエンス発展」は2021年9月からスタートしました。「統計検定におけるデータサイエンスの試験とは??」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。まだまだ情報が少ないこれらの試験の両方を実際に受験してみましたので、本コラムでは、これらの試験の難易度と「基礎」「発展」の違いをお伝えしたいと思います。

 

■難易度は必ずしも「発展」>「基礎」ではない

結論から言うと、「データサイエンス基礎」と「データサイエンス発展」は出題形式が全く異なるため、どちらの方が難しいとは言い難い試験であり、人によって難易度の感じ方が異なると思います。下記に違いを記します。

 

■「データサイエンス基礎」

【出題形式と内容】

Excelを使用したデータ加工やデータ分析の実行能力を問う試験です。試験中に実際にExcelを操作して答えを出すため、Excelの基本操作、ピボットテーブル、アドインのデータ分析の使い方を理解し、使いこなす必要があります。出題される問題で使われるデータセットは、生活に身近なオープンデータです。

【受験した感想と対策】

STDEV関数(標準偏差)、CORREL関数(相関)等のようによく利用される関数の他にも、CHI.DIST(カイ二条分布の値)のような、おそらく普段はあまり使用しない関数を使わないと解答ができない問題が多くありました。全ての計算をExcel関数で行わなければならないため(統計数値表は配布されません)、出題範囲にあるExcel関数の使い方は一通り理解しておく必要があります。

【お勧めしたい方】

普段Excelを利用していてこれからデータ分析を学んでいきたいという方にとっては取り組みやすい資格であると思います。統計学系の関数の使い方を使いこなすことが求められる実践的な試験なので、Excelで扱えるレベルのデータ分析を行う方にとっては、有用な資格試験だと思います。

 

■「データサイエンス発展」

【出題形式と内容】

データサイエンスに関する大学教養レベルの一般的な内容を問う試験です。計算は電卓を用いて行い、計算を伴う統計学・数学的な問題、プログラム・アルゴリズムに関する問題、機械学習の手法に関する問題のほか、IT技術、倫理・法律に関する問題等、知識問題も多く出題されます。

【受験した感想と対策】

知識問題はG検定やデータサイエンティスト検定と類似の問題が多く、ITやデータサイエンス、AIに関する基礎知識があれば難しくはありません。その他の部分では、統計学・数学的な問題の割合が多いのが他の試験との違いだと感じました。

【お勧めしたい方】

自分で手を動かして分析するよりも、まずは統計学の考え方やデータサイエンス周辺の知識を得たい、という方にお勧めです。

 

■どのように役に立つ試験なのか?

ざっくり言うと「データサイエンス基礎」=Excelを使用した実践的分析力を問う試験、「データサイエンス発展」=統計学・数学やデータサイエンスに関する知識を問う試験であるため、得意な方から取り組み、両方合格できると実践と理論のバランスが取れると思います。

一方で、「データサイエンス基礎」「データサイエンス発展」ともに、データサイエンティストを目指す方にとっては、学習の深度や難易度はやや物足りない印象です。どちらも統計検定2級よりもずいぶん易しいと感じました(実際「データサイエンス発展」の出題範囲に統計検定3級・4級は含まれますが、2級は含まれません)。

 

実は、この二つの試験にはさらに上位の試験として「データサイエンスエキスパート」があります。公式HPでは、2022年9月からスタートするとアナウンスされています。

https://www.toukei-kentei.jp/exam/grade13/

すでに公開されている出題範囲表を見ると、他のデータサイエンス系試験では問われない手法や理論も多数含まれており、それなりの難易度があると推測されます。

 

「データサイエンス基礎」「データサイエンス発展「データサイエンスエキスパート」ともに、例題は公開されているものの過去問は一切公開されておらず、合格のための対策がしづらい試験であると言えます。合格を目的にするのではなく、データサイエンスを学ぶ上でのマイルストーンとして、ある程度学習が進んだところで力試しとして受けるのがよいのではないでしょうか。

 

資格試験をうまく活用すれば、より効果的にデータサイエンスの学習が進められると思います。データサイエンスアカデミーは、データサイエンスを学ぶ全ての方を応援しています。

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