Column連載コラム

2021.10.20

【データサイエンスと資格の話】その② 業務にデータ分析を取り入れたい方におすすめしたい資格の話

就職・転職支援担当スタッフの中川です。

前回のコラムでは、データサイエンティストへの就職・転職を目指す方に向けて「データサイエンティストを目指すときに有利になる(かもしれない)資格」について書きました。今回は、「データサイエンティストになりたいわけではないが、自分の業務にデータ分析を取り入れるためにデータ分析の勉強をしてみたい」という方に向けて、ご紹介したいと思います。

 

兼任講師の笹森が自己紹介でも語っている通り、一般的に、データ分析者に必要な能力として1.ビジネス力 2.分析力 3.エンジニア力が挙げられます。「自分の業務にデータ分析を取り入れたい」方にとって取り組みやすいのは、1.ビジネス力 2.分析力でしょう。3.エンジニア力も重要ですが、プログラミングやデータベースの勉強をいきなり始めるのはハードルが高いと感じる方が多いと思いますので、今回は1.ビジネス力 2.分析力に関連する資格に絞ってご紹介します。

 

■ビジネス力に関する資格

G検定(一般社団法人日本ディープラーニング協会)

https://www.jdla.org/certificate/general/

 

ディープラーニング(≒AI)について、それを利用する側の人間が知っておくべき知識を問う資格です。AIの歴史からディープラーニングの各種手法、AIプロジェクトの進め方、AIをめぐる社会的課題まで、AIに関する幅広い知識を求められる内容になっています。多少の計算問題もありますが、基本的には知識を問う試験なので、数学に苦手意識がある方にも取り組みやすい資格です。

合格率は毎回60%前後で、難易度はそれほど高くありません。ただし、出題される問題数が220問程度と非常に多いため、スピードが必要とされる試験です。ビジネスにAIを取り入れたいと考えている方にとっては、最適な勉強ができる資格だと思います。

 

■分析スキルに関する資格

統計検定(一般財団法人 統計質保証推進協会)

https://www.toukei-kentei.jp/

 

<2級>

前回も紹介した統計検定2級は、データサイエンティストを目指す方のみならず、データ分析に取り組みたい全ての方にお勧めしたい資格です。

2級の出題レベルは「大学教養課程レベル」で、「理系・文系、学部に関係なく、大学で研究を行う前提としてこの程度の統計学の知識は持っていてほしい」というレベルなので、業務でデータ分析を行う上で必要な統計学の知識も網羅しています。

暗記で解ける問題は少なく、問題文を理解し、統計学の知識を利用して式を立て、実際に計算して答えを導き出すことが必要とされるため合格率はやや低く、40%程度となっています(電卓の持ち込み、利用は可能です)。統計学を真正面から勉強し、基本をマスターしたい方にお勧めの資格です。

 

<データサイエンス基礎/発展>

2021年7月から<データサイエンス基礎>が、2021年9月から<データサイエンス発展>の試験が開始されました。<データサイエンス基礎>は新学習指導要領(平成29・30年改訂)による大学入試までの内容、<データサイエンス発展>は数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムが定めるリテラシーレベル(=分野を問わず、全ての大学・高専生がリテラシーとして学んでおくべきレベル)を出題範囲としています。

<データサイエンス基礎>はExcelでの処理を想定し、社会や生活の中にある身近なデータを扱っているため、取り組みやすいと思います。<データサイエンス基礎>取得後、<データサイエンス発展>取得に向けてデータサイエンスな様々な理論や数学的な処理を勉強すると、勉強が進みやすいと思います。

 

データサイエンス数学ストラテジスト(公益財団法人日本数学検定協会)

https://ds.su-gaku.biz/

 

2021年9月にスタートしたばかりの資格です。「数検」を実施している団体による試験のため、当然ながらデータサイエンスの数学的な側面に軸足を置いています。<中級>は高校数学1・Aまで、<上級>は高校数学1・A・2・B・3+大学初学年(微分・積分、線形代数基礎)までを範囲とし、機械学習・ディープラーニングを支える数学理論が問われます。

データサイエンスを学ぶ上で、そこに使われている数学理論を理解することは重要ではありますが、いきなり数学理論に取り組むと「なぜこれを学ぶ必要があるのだろう?やっぱりデータサイエンスは難しい!」という状況になりがちです。G検定等で全体を俯瞰し、なぜ数学理論が必要なのかを理解した上で後にこちらの資格に取り組むと、理解が早く進むかもしれません。

 

■総合的なデータサイエンス力に関する資格

データサイエンティスト検定™ リテラシーレベル(一般社団法人データサイエンティスト協会)

https://www.datascientist.or.jp/dskentei/

 

こちらも2021年9月に1回目が実施されたばかりの資格です。データサイエンティストやデータサイエンス企業の集まりであるデータサイエンティスト協会は、データ分析者のスキルを測るための指標として「データサイエンティストスキルチェックリスト」を作成しており、この資格はチェックリスト中のAssistant Data Scientist(見習い)レベルの能力を測る資格です。ビジネス力、分析力、エンジニア力の各分野からバランスよく出題されるため、データ分析を推進するにあたって必要な知識を網羅的に学ぶことができます(エンジニア力の分野については、直接操作方法を問う問題は少なく、データ分析を行うために必要な技術要素を知っているかを問う内容になっています。)

出題範囲は広いですが、ごく一般的な統計やビジネスの知識で正解できる問題も多くあり、難易度はそれほど高くありません。現在データ分析に関係ない仕事をしている方にとっても取り組みやすい資格であると思います。

 

 

今回ご紹介した資格は、皆一様に「理系・文系に関係なく、これからのビジネスパーソンに必須のスキル」と謳っています。知識レベルとしては、大学の教養課程レベルや初級レベルに設定されているものが多く、きちんと学習をすれば合格できる資格が多い印象です。決して資格取得が学習の全てではありませんが、スキル習得のマイルストーンとしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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